▲レターボックスのイメージ。幅の狭いテレビに横長の映像を映すために起きる現象。
「レターボックス」とは、画面サイズ比率4:3のアナログ放送に16:9のデジタル放送サイズの映像を映すことにより、上下に余白ができ黒帯が表示される状態です。
2003年12月のデシタル放送開始後、これまではアナログ放送ではデジタルの16:9映像の左右をカットする「サイドカット」により、画面全体に映し出されていましたが、レターボックス化により、アナログ放送でもデジタル放送と同じ画角で放送されています。
▲サイドカットのイメージ(これまでのアナログ放送)。上のイメージに比べ、サイドが削られた映像だが画面全体に映り出される。
レターボックスとなると、どうなるのか? 本来、左右が広くなるべきところを無理矢理、狭い画面に収めるので、実質テレビのサイズダウンとなってしまいます。人の顔も小さくなりますし、特に迷惑なのが字幕スーパーの文字が小さくなることです。視力が弱い者にとっては特に痛いことです。
これまで、字幕スーパーはサイドカットされるアナログに合わせて出されていたので、デジタル放送では中心寄りに文字が表示されていましたが、今回からは16:9の画面全体を使って字幕スーパーが出されるようになりました。
ここで問題なのは、制作者側は、画面が左右に広がったものとして作っているので、文字サイズを大きくしようという発想がないことです。そのため、狭い画面に収めると、丸々全ての文字が小さくなってしまうのです。そのあたり、もっと配慮してほしいと願うところです。
●各局の対応
これまで今春から先行してレターボックス化していた日本テレビやNHK、一部番組のみレターボックス化していた局でも、基本的に生放送番組はレターボックス化されていませんでしたが、今日からは全ての番組がレターボックス化されました。
黒帯部分には、これまでのレターボックス化されていた番組と同様に、番組冒頭などでデジタル化を促す字幕が表示されています。
民放各局のニュースや情報番組を確認したところ、早速、初日からで、字幕スーパーの表示範囲が左右に広がっていました。しかし、文字サイズはそのまま。アナログテレビで見ると、全ての文字が小さくなってしまっていました。
一方、NHKのニュースだけは、初日に対応しきれなかったのか、レターボックスにはなっているものの、字幕スーパーの位置がサイドカット時のままで、なぜかカメラワークもサイドカットに合わせたものになっていました。
●ネガティブキャンペーン
これまでサイドカットで気持ちよく見られていたものをなぜ、この時期に変えてしまうのでしょうか?
これは、全国地上デジタル放送推進協議会がまとめた「アナログ放送終了計画」に沿ったもので、アナログ視聴者に危機感を感じさせ、地デジ化を推進するという狙いによるものらしいです。
これを産経新聞は「ネガティブキャンペーン」と報じています。アナログであることを十分に把握しながら使っている者にとっては、とんだ迷惑。ただの嫌がらせとしか思えません(デジタル放送をサイドカットして4:3で見ている人にとっても迷惑)。
まだ、テレビ局が全てのカメラを16:9で映せるハイビジョンカメラをそろえていない今、時期尚早ではないでしょうか。16:9と4:3の画面が混在し、見づらくて仕方ありません。
特に16:9の中に4:3の映像を収めたものを4:3で映す「額縁放送」を見さされるのは、本当にバカバカしいです。
▲額縁放送のイメージ。幅の狭い映像を取り込んだ横長の映像を幅の狭いテレビで見るために起きる現象。
●16:9って本当に的確なのか?
そもそも、一体、誰がテレビの横幅を広げようと考えたのでしょうか?迷惑な立役者だなぁと思ってなりません。16:9は人間の目の視野角により近いものと聞いたことがありますが、そうだとしても本当に的確なのでしょうか?
16:9では特にスタジオで1人の人物を撮影した時に左右が余りすぎていて迫力に欠ける映像になっているように思います。左右にも人がいる時には、左右の人がそれぞれ半分だけ映り込んでいたりして、どうも中途半端な感じです。
また、カメラマンがまだ慣れてないのかも知れませんが、スタジオで並んだ人物全体を映すシーンでも左右が余りすぎていて、持て余している感があります。
個人的には先人が考えた4:3の方が何とも絶妙な画面比率で的確であったように思えてなりません。
●買い換えのタイミングは?
さて、完全デジタル化まであと1年。これが延期されない限り、1年以内に新しいテレビやチューナー、レコーダーを買わなければならないのですが、そのタイミングはいつが良いでしょうか?
我が家では、ブラウン管テレビが壊れない限り、買い換えるのはもったいないので、チューナーを買い足して、デジタル化する方針です。
買うタイミングとしては、急いで買っても、完全デシタル化までにテレビが壊れるかも知れませんし、価格も待った方がどんどん安くなってきますので、ぎりぎりまでは買わないつもりです。
しかし、完全デジタル化の直前だと急に購入者が増えて、品薄になる可能性もありますので、状況を見極めた方が良さそうです。
どんなチューナーが良いかと考えると、BSデジタルチューナーも内蔵しているもの。また、16:9で4:3の映像を流している番組(額縁放送)に対応するため、ズーム機能が付いたチューナー(など)が良いと考えています(ユニデンDT300など)。ズーム機能により、画面一杯に拡大(パンスキャン)して見ることができます。
ただ、このズーム機能。画面一杯にするサイドカット状態の1段階にしかできないようです。これでは、レターボックス時に文字を大きくしたいという目的では、文字がはみ出てしまうので使えません。
こういう場合のためには、ややズームをするなど、自由に倍率が変えられる可変ズーム機能も付けてほしいところ(DVDプレーヤーであれば東芝SD-590Jに3段階のズームが付いている)。また、額縁になったら自動的に判別してズームしてくれるという機能もあれば素晴らしいと思うのですが・・。
一方、DVDレコーダーは、別の理由でぎりぎりまで買うのを控えた方が良さそう。現行のレコーダーにはダビングを制限する「ダビング10」が導入されていますが、完全地デジ化までにこれがを廃止になるいう噂があります。
廃止になった場合、現行のレコーダーで対応できない可能性がありますので、ぎりぎりまで待って状況を判断した方が良さそうです。
●全国一斉地デジ化テスト
レターボックス化前日の7月4日(日)には、午後5時59分から1分間、全地上波テレビ局で同時に「全国一斉地デジ化テスト」という地デジPR番組が放送されました。
史上初、民放とNHKにて全局が同時に放送したという点では画期的な放送です。
アナログ放送では、砂嵐のイメージの画面を出して、地デジ化への対応を呼びかけ、デジタル放送では、サブテレビの地デジ化を呼びかける内容でした。
アナログとデジタルで異なる画面を出すというのは、正に当ブロクが記事で提案したアイデアです。「アナログ」マークの常時表示といった、バカなことをせずに最初からこういうPR方法をしていれば良かったのです。
今後も同様の番組を各局単独で順次放送するとのことです。
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レターボックス化以降も、字幕などが4:3に合わせられていたNHKのニュースが、9月27日(月)から16:9の画面一杯に使用されるように改められました。
―――2011年7月3日 追記―――
アナログ放送終了カウントダウン表示を開始
地デジの普及率は8割ですが、後の2割を同じスピードで普及させるのは困難だろうと新聞に書いてありました。
大体、今アナログを使っている人はまだ使える機器を捨てるのがもったいないとか、そういった理由らしいです。我が家も同じですね。
今更、地デジを知らないという人は、そんなにいないはずで、分かった上で使っているのに、こんなことされるのは、本当に嫌な感じです。
でも、「アナログ」表示に慣れるのに2ヵ月かかったのに、レターボックスの文字の小ささには1週間で慣れてしまいました。結局、こんなことやっても、地デジ促進に効果はなく無駄だということですね。
CM中はないのにね〜。
ヤナ感じ☆
我が家でも寸前までアナログです。表示が出ていても、番組の字幕の配置を変えてくれれば、重ならないようにできるのですが、ある一番組以外全く対応する気配がありません。配慮してはならないというお達しでも出ているのでしょうか。なんでこんな意地悪されなければならないのかと思いますね。
カウントダウン表示についての記事もご覧下さい。
http://gokublog.seesaa.net/article/212987949.html