
垂水(たるみ)神社は、大阪府吹田市垂水町にある神社。千里丘陵の南端にあたるこんもりとした丘の森の中にあります。境内には千里の地層を通り抜けた水が湧き出ている箇所があり、「垂水の滝」として名所になっています。

垂水神社は奈良時代に創建され、1,360年以上もの歴史がある神社です。当時、この地の領主であった阿利真公(ありまのきみ)が、干ばつで苦しむ難波長柄豊崎宮に、垂水の水を高樋で伝わせて送水。その功績により阿利真公は、孝徳天皇より「垂水公」」(たるみのきみ)の姓を賜り、垂水神社を創建したということです。

▲垂水の丘と参道にまで延びた本殿に参る人の行列。

▲門松が飾られた神社の入り口。

▲本殿へは階段を上へ。上がらずに左へ行くと垂水の滝や摂社・末社がある所へ出る。

▲本殿と今年の大絵馬。

▲丘の中腹に広がる境内。
垂水の滝は、1960年代の千里ニュータウン開発以前は、今より水量がずっと豊富だったということですが、今でも「本瀧」と「小瀧」の二ヵ所から、ちょろちょろと水が湧き出ており、どんな日照りの年でも涸れることがないということです。この湧水は、佐井の清水、泉殿霊泉と並ぶ「吹田の三名水」の一つに数えられています。

▲垂水の「小瀧」。
本瀧の脇に現代になって建てられたという万葉歌碑があります。万葉集にある志貴皇子の歌「石走る垂水の上の早蕨の萌え出づる春になりにけるかも」は、この垂水の滝のことを詠んだという説が有力とされています。

▲垂水の「大瀧」。
さて、元日の午後、本殿へお参りする人の行列が丘の下の参道にまで延びていました。これを並ぶのはとても大変なので、今回は摂社・末社にお参りすることにしました。

▲垂水の滝や摂社・末社がある境内の西側。
その中で、垂水不動社が、特に人気があり高い崇敬を受けているということで、こちらにお参りすることにしました。垂水不動社は、明治時代、神仏分離によってなくなった隣接の栽松寺に代わって建立されたとのこと。社殿前には線香立てや、ろうそく立てがあるうえ、毎月8日(2月は、3日に節分祭)には護摩焚き神事が行われており、神仏習合の名残が今でも強く残っています。

▲神仏習合の名残が強く残る垂水不動社。

▲丘の上の円山町へ通じる裏参道は山道。

▲丘の上の住宅地に面する円山町側の入り口。

▲鳥居には現在の「円山町」と異なる「丸山町」の文字が刻まれている。

▲森の中の裏参道から見た境内。
●垂水の丘は縄文時代の海岸線
垂水神社ができるもっと遠い昔の話にさかのぼりますが、この垂水の丘の南端は、急な崖状の傾斜となっており、これは海の波の浸食によってできた海食崖とみられています。大阪の大部分が海だった約6千年前の縄文時代、この崖の下まで海水が打ち寄せていたということになります。
現代では、ここは大阪湾の海岸線から10km以上離れていますが、「水は昔を覚えている」とよく言います。近頃、専門家により試算された東南海・南海地震が、マグニチュード9.0規模で起きた場合の津波浸水想定の地図では、吹田市南部辺りまでが浸水域として塗りつぶされています。実際にこの規模の津波が発生した場合、もしかすると、ちょうどこの崖の下辺りが浸水のボーダーラインになるのかも知れません。

▲北大阪急行車内から見た垂水の丘(7月12日写真追掲載)。
【地図】垂水神社
住所:大阪府吹田市垂水町1-24-6 阪急千里線豊津駅から徒歩12分。
地下鉄御堂筋線江坂駅から徒歩19分。
住所:大阪府吹田市垂水町1-24-6 阪急千里線豊津駅から徒歩12分。
地下鉄御堂筋線江坂駅から徒歩19分。

▲1月10日には、「垂水江坂戎」が催される。
●垂水神社隣接地にマンション計画
ところで、今、垂水神社の隣接地の急斜面にマンションを建設する計画が浮上しています。今回、ここへ初詣に来たのは、この反対署名を書くためでもありました。
1360余年も守られてきた緑を破壊することは断じて許すことはできません。また、急斜面に建設することの危険性や垂水の滝への影響が懸念されています。
現在、神社や地元自治会を中心として反対運動が行われています。昨年11月には、毎日放送の報道番組「VOICE」の「憤懣本舗」のコーナーでこの問題が取り上げられました。
署名の数は、現在1万件にまで達しているそうですが、より多くの方々にご賛同していただきたいと願うところです。署名は垂水神社ホームページから用紙をダウンロードして、神社宛に郵送することも可能です。神社での署名は社務所の前に用紙が置いてあります。

▲境内から見たマンション建設計画地(枠の部分)。ここに建ってしまうと風情が台無しになる。

▲斜面の上から見た建設計画地。誰がこんな急斜面(35度)にマンション建設が計画されると予想しただろうか。あまりにも無謀だ。
[2014年1月8日追記]
垂水神社隣接地のマンション建設問題は、2013年11月に業者が計画を中止し、垂水神社が当該地(約1000平方m)を購入することにより解決しました。なお、購入・整備費用(1000万円)の寄付を募っているということです。今後、記念碑が建てられ、鎮守の杜を守った経緯と今後も守り続けるよう子孫に伝える内容の文章が刻まれる予定です。
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総務担当者です。
先ず、ブログで取り上げて頂きありがとうございます。
署名活動をしていて一番つらいのは、子供たちに「罰あたり!」等と言われることです。
大人として申し訳ない、情けない気持ちにさせられます。
さて、問題のマンションを計画している業者「山崎総合設計」と「アプローズ不動産販売」が、2月24日に測量しようとしました。
何と、垂水神社の敷地に自動車を駐車して、反対派住民の敷地に道具を広げての暴挙でした。
警察を呼んで追い返したのですが、この事件に危機感を抱いた私たちは、ついに「のぼり」をたてました。
さて、反対運動の主な理由は景観ですが、隠れた理由を紹介させて下さい。
万一マンションが建ったとして、「数年で廃墟になり住めなくなる。」この様な声が、年配者を中心に湧き上がっています。
マンション計画地周辺は、ムカデに悩まされているのです。
全戸南向きで展望も良いのですが、背後の斜面からは水が湧き出し、東西を森で囲まれているので、藪蚊の宝庫です。
生物連鎖というのでしょうか?
蜘蛛、ヤモリ、蛇、等と続き、最後がムカデなのです。
カラスも多く、私の自宅では、犬の餌まで食べに来ます。
でも、一番イヤなのはムカデです。
私がムカデに足の小指を噛まれた時は、脳天まで痛みが突き上がり、気付いた時は、尻もちをついていました。
山崎総合設計が「○○さんと違って、30年も住む人は居ません。」と言ったことから、購入者の快適な生活等、考えていないことがうかがえます。
こんなマンション建てさせるべきでない!
ご支援、どうかよろしくお願いいたします。
業者が神社や住民の敷地を利用して測量しようとしたなんて、何とも大胆ですね。この業者、ネットの噂では、いろいろ問題あるようですね。
そして、ムカデ。竹藪にはムカデが付き物ですものね。我が家がかつて住んでいたマンションもよくムカデが出て悩まされておりました。小さいムカデに噛まれたこともあり、小さくても、チクッと、ものすごい痛みを感じました。今後、竹藪跡や竹藪隣接の住宅には、気を付けないといけないとずっと考えております。
急斜面であることにしても、あらゆる面で建てるべきマンションではないということですね。
今後、状況が変わりましたら、ぜひまたこのコメント欄に書いていただくと、皆さんに読んでいただけると思います。よろしくお願いいたします。