
先日、灘駅舎の見納めに行ってきました。近くの王子動物園の最寄り駅なので、そこへ行く際に降り立った人も多いかと思いますが、極もんはここで下車するのは初めてです。


ホームに降りると、まず注目すべきは、19世紀のイギリス製レールを再利用したというホーム上屋です。そして、改札口へと利用するのが、何とも趣がある木製の跨線橋です。ここを歩くと現代のものとは違って、凄く暖かみを感じます。

<木製のずっしりとした存在感ある跨線橋。
神戸都心近くにこんなものが残っていたとは・・>



動物園側の北側の駅舎が昭和12(1937)年に建設された70年もの歴史ある駅舎です。南北にアーチ窓があること以外はシンプルなデザインですが、何とも深みを感じます。まるで映画に出てくるような懐かしい駅舎らしい駅舎だと思いました。

<アーチ窓と扉が付いた入り口。まるで洋館のようだ。>

これらすべてが橋上駅舎化によって取り壊されてしまいます。地元住民にとって駅の南北を結ぶ自由通路の建設は念願だったということですが、作ろうと思えば、駅舎と跨線橋を残したまま作れないことはなさそうです。

自由通路を作るだけならば、跨線橋に並行して作れば良いことです。しかし、JR西日本としては、現在、南北にある改札口を1つに統合して合理化したいところなのでしょう。橋上駅舎にするにしても、旧駅舎だけでも改札設備を取り払った後、入り口の建物として残せそうですが、どうして壊すのでしょうか。店舗開発でもして一儲けする気なのでしょうか。折角、戦争でも焼けず、震災にも耐えた駅舎なのに、簡単に壊してしまうのはもったいないです。
いつも思うことなのですが、どうしてこういう時、壊すか、利便性かの二者択一になるのでしょうか、どうして遺産を残すことと利便性を両立させることを練って考えないのでしょうか。もっと文化を大切にする風土を築いてもらいたいものです。

―――11月12日 追記―――
レールブログにもJR灘駅についての記事を書きました。全く別の写真を使っていますので、どうぞご覧下さい。
震災で残したくても残せなかった建物があったのに、その神戸において人の手で貴重な建物が壊されてしまうのは本当に残念なことですね。アイデア次第では残したまま新しいものを作ることも可能だと思います。行き過ぎた合理主義は本当に問題だと思います。
阪急梅田駅コンコースは残念ながら無惨に壊されていまいましたが、今後の活動にネット上での活動事例として下記サイトもぜひ参考にどうぞ。
http://blog.livedoor.jp/hankyu13/
といわないために、今できることをささやかでも続けたいと思います。メールでの保存作戦を最後までしています。よろしくお願いします。解体へ向けてのの裏話は、たくさんありますが、とにかく、保存への動きを,一人一人がどこまで作れるかだと思います。
なるほど、40年も実績がある団体さんだったのですね。逆転保存という例もあるんですね。保存の輪が広がることを熱望したいと思います。