
「自由軒」は明治43(1910)年に創業した独特のカレーで有名な老舗洋食店。2010年には創業100周年を迎えます。昭和12年〜13年頃には著名な作家・織田作之助がよく来店したそうで、店内で構想を練っていたという出世作「夫婦善哉」にも、自由軒が登場しているということです。

極もんがこちらでいただくのは2回目。前回は週末の昼時だったので行列に並びましたが、先日は平日の夕方で空いていました。今回もいただくのはもちろん「名物カレー」(650円)。来店したほとんどの人がこれを注文しています。注文すると、店員さんは「インデアン一丁」と厨房へ発しますが、メニュー上の名称は「名物カレー」です。名物になる前はどんな名前だったのでしょうか?
それはさておき、早速いただきます。こちらのカレーは最初からルーとライスを混ぜてあるのが特徴。見かけはドライカレーに見えますが、ドライではなくウェットです。生玉子をよく混ぜていただきます。口当たりが良く、暑い日でもとても食が進む感じです。辛さはピリ辛程度で素朴なおいしさでした。お好みでソースをかけるということですが、極もんはかけない方が好きです。
こちらには、名物カレー以外にもご飯にルーがかかった一般的なカレーもあるのですが、こちらは面白いことに「別カレー」という名称になっています。また、名物カレーと同様に最初から混ぜてあるスタイルのハヤシライス「ハイシライス」もあります。カレー同様、一般スタイルのハヤシライスは「別ハイシ」で、他に「ドライカレー」、「野菜カレー」、「カツカレー」もあります。

●難波「自由軒」と「せんば自由軒」の違い
ところで、他に「せんば自由軒」というお店がありますが、そちらは本家自由軒の2代目店主が昭和45年に出店を許可したお店だということです(当時は「本町自由軒」)。いわばのれん分けされたお店です(本家ではのれん分けという表現は使っていない。)。本家自由軒ホームページにはそれがどういう人物なのか書かれていないのですが、せんば自由軒のホームページによると、その独立した創業者は本家2代目の五男なのだそうで、実の親子だったのです。しかも、総料理長になったのは本家で総料理長を務めていた人物だということです。
せんば自由軒がオープンした当時、本家を継いでいたのは四男で、「千日前自由軒より本町自由軒さん江」と記した花輪を送られるなど、当時は兄弟で仲が良かったそうですが、さらに代が替わっていとこ同士になった現在、本家ホームページには、「最近は当店の名前を使ったレトルト食品や、当店とは一切関係のない店舗が出店されています。」だとか、『「せんば自由軒」は現在では当店と関係がありません。』、「当店の名前を模しただけの店」などと記されており、どうやら今はとても仲が悪くなっているようです。親子間ののれん分けであったのに、親子、兄弟であったことが記されず、こういったことが書かれているのはちょっと醜いですね。
そうなったのは、両者の経営方針の違いにあるのかもしれません。本家は受け継がれた味を守るため、本店で味の管理を行い、名物カレーなどは本店で作ったソースを毎日、支店へ運んでいるため、関東のような遠方への出店は行わないという方針で、3軒(難波本店、天保山店(フードテーマパーク「なにわ食いしん坊横丁」内)、堺北花田ダイヤモンドシティ店)だけの出店に抑えています。
それに対し、せんば自由軒は関東への出店やフランチャイズ展開をしたり、レトルト製品を自社工場で生産したりと、かなり手広くやっています。そうなると、本家としては敵対心を持たざるえないのかもしれません。
また、せんば自由軒のホームページのQ&Aには、『自店の店舗内の狭い調理場で「2・3店舗のカレーの仕込」をし、それを車で運ぶなんてとんでもない! 劣悪な狭い調理場で、そのキャパシティー以上の生産をすれば、品質的に危ない!(中略)工場がなかったら支店も2店舗以上出しちゃーだめですよ!味は、何とか保ても、「品質」は全くたもてませんね(笑い) 』などと、本家を批判するような内容が記されており、両者の仲が悪いことは明らかです。また、昭和45年にのれん分けされたのに会社概要に「明治43年創業」と明記していることや、せんば側が「自由軒」の商標登録を取ってしまっていることも気がかりです。

さて、このブログでよく触れているテレビ朝日の番組「いきなり!黄金伝説」のカレーベスト30に自由軒もランクイン(17位)していたのですが、東京出店のお店が対象だったため、それは「せんば自由軒」の方でした。ちなみにせんば自由軒の名物カレーのメニュー上の名称は「名物インデアンカレー」。このカレーにレポーターの彦摩呂さんは絶賛。こちらもしっかりと味が受け継がれて、庶民に受け入れられていることに違いはないようです。
ちなみに本日現在、検索エンジンで「自由軒」と検索すると、ヤフー・グーグル共に1番に本家難波の自由軒が表示され、その次にせんば自由軒が表示されます。検索プログラムもうまく判別するものだなぁ、と思いました。さて、極もんのこの記事は何位に入りますでしょうか?
●自由軒の底値情報
本家自由軒・せんば自由軒の各店のうち、一番お安い価格で「名物カレー」がいただけるのは、上記本家の難波本店です。難波本店:650円 天保山店735円 せんば自由軒新橋店:790円
せんば自由軒は楽天にも出店・・
楽天のせんば自由軒はこちら >>
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―――8月11日 追記―――
自由軒の「ハイシライス」と裁判についての記事はこちらです・・
カレーは体にもいいですもんね。