不便だったデジタル放送の録画制限の緩和が年内にも実施される見通しとなりました。しかし、その緩和策は全く不十分。このままでは2011年のテレビ放送完全デジタル化はとても歓迎できないものになりそうです。
●デジタル普及の妨げになっていた「コピーワンス」
現在、デジタル放送には「コピーワンス」と呼ばれる複製防止信号が入っていて、これをハードディスクレコーダーで録画した場合、DVDに移動(ムーブ)はできますが、コピーはできない仕組みになっています。これは、デジタル映像は繰り返し複製しても画質が劣化しないためで、オリジナルと同等のコピーが売られたり配布されるなどして、著作権が侵害されるのを防止するためです。
しかし、これでは私的利用のバックアップの作成もできませんし、iPod(アイポッド)のような携帯型プレーヤーにテレビ番組をムーブしても、元の映像が消えてしまいますので、新しいライフスタイルに対応することもできません。また、ディスクへの書き込みに失敗して、番組を失ってしまうというトラブルも起きかねません。実際に番組を消失したという苦情もメーカーに多数届いているようです。DVDレコーダーの国内出荷台数もコピーワンスを敬遠してか、大変落ち込んでいるそうです。ちなみに地上デジタル放送にコピーガードがあるのは日本だけらしく、アメリカやフランス、韓国では制限を設けていないそうです。
●「コピーワンス」から「ダビング10」へ
近頃になって、総務省もやっとコピーワンスがデジタル放送普及のネックになっていることに気づき、コピーワンスの見直しが検討されていました。そして、総務省の諮問機関である情報通信審議会は、今年7月12日、コピーワンスの緩和案を正式に発表。それは、ハードディスクからDVDへのコピーを9回まで可能(10回目はムーブ)にするというものです。JEITA(電子情報技術産業協会)は先日、この新ルールの名称を「コピー9回+ムーブ1回 (ダビング10)」とすると発表しました。
コピー回数が1回からが9回になったことは一見、大幅な緩和がされたように見えるのですが、これはハードディスクからDVDへの一方向の緩和に過ぎません。コピーしたDVDからはどこへも再コピーできないことに変わりありません。したがって、DVDからハードディスクへ戻すということもできないのです。
検討してきた人々は1年以上もかけて、一体何を考えてきたのでしょうか? ただ、DVDなどへのコピー回数を増やしただけという、そんな単純な方策でユーザーが納得すると思ってもらっては困ります。
●DVD→HDDができないと何もできない
極もんは、地上デジタルチューナーも内蔵しているハードディスク内蔵DVDレコーダーを使用していますが、デジタルはたまたま付いてきたもので、アナログチューナーだけを使うことを前提に購入しました。やはり、コピーワンスが付いているデジタルは不便なので使い気になれません。また、ダビング10になったとしても日常行っている以下のようなことが全て不可能なことに変わりないのです(現在、出回っているコピーワンス機はダビング10に移行不可能であり、現在購入を考えている人はダビング10対応機の発売を待たなければなれません。)。
極もんはかなりのヘビーエアチェッカーで、ハードディスクがよく満杯になるので、DVD-RWに番組を待避することを日常的に行っています。そのDVD-RWの番組を視聴した後は、必要な部分を抜き出してハードディスクに戻したうえで、保存用のDVD-Rにコピーし、DVD-RWの元映像は消去という活用方法を行っています。しかし、デジタルになると、DVDからハードディスクへのコピーができないので、これができなくなるのです。
また、同じ時間に番組が重なったため、別の第2レコーダーで録り、後からその番組を第1レコーダーのハードディスクにコピーした上で、同じDVDにまとめるといったことや、ハードディスクが満杯なので慌ててDVD-RAM・RWに録画したという番組から必要な部分だけを抜き出して保存したいという時もどうしょうもならなくなるのです。DVDレコーダーが普及し出した時に、多くの人がビデオテープからDVDに移し替えたように、次世代メディアが登場した時にDVDからどうやって移し替えるのかという問題も起こってきます。
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DVDからハードディスクへのコピーが不可能だと
できなくなることの例 |
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- ハードディスクからDVDに待避したのち、必要な部分のみ抜粋して別のDVDに保存。
- 別のレコーダーで録った番組とハードディスク内の番組を同じDVDにまとめる。
- とりあえずDVD−RAM等に録り貯めた名場面を日付順に並べ替えて、DVD-Rに正式保存をする。
- ハードディスク容量不足のため、緊急に直接DVD-RAM等に録った番組を編集して、保存用DVD-Rに移動する。
- 保存DVDのバックアップ作成。
- 次世代メディアへの移し替え。
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これらができないとなると、ただテープの最初から順番に録り続けていたビデオテープ時代の不便さに逆戻りです。技術の発展を生かせないことになります。こうなると、ハードディスクからあふれる番組を丸々ディスクに保存し続けなければならず、編集できないので多くの保存スペースは必要だわ、多くのディスク購入費が必要だわで大変。どうして、一部の悪い人のために一般ユーザーが不便な目に遭わなければならないのでしょうか?
当初、今回の見直しは、コンテンツを暗号化することでインターネットでの再配布は防止しつつ、複製はほぼ自由に行なえる運用形式・EPNの導入を前提として検討開始されたそうなのですが、孫コピーができることに難色を示したテレビ局などの反対で立ち消えになってしまったそうです。ヘビーエアチェッカーは、テレビ局にとって大のお得意様であるのに、テレビ局がそのユーザーの利用に制限を付けて締めつけようとしているのもおかしな話です。
●ユーザーの納得
さて、どのようにすれば、ユーザーの納得が得られるでしょうか? ハイビジョン画質そのままでフリーにするべきという意見もあるのですが、個人的にはそこまで必要だとは思っていません。アナログ画質のままで良いので、アナログ番組と同じようにできるようにしてくれと言いたいのです。例えば、一般的なDVD再生方式ではないVRモードであれば可能であるとか、アナログの標準画質である4.6Mbps以下の画質なら可能にするとか定め方はいろいろありそうです。
本田雅一のAVTrends :コピー回数の変更だけでコピーワンス問題は解決できない >>
ITmedia +D LifeStyle:「1世代コピー9th」では誰も幸せになれない >>
極もんは意見を総務省にホームページから送ろうと思います。
皆さんも嫌な嫌な地デジ時代にならないよう、ぜひ総務省に意見を送りましょう。
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2007.11.29
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コピーワンス緩和 「9回まで」OKに 視聴者利益を優先(ITmedia News)