大阪・吹田に阪急千里線と上の川と府道が1駅間に渡り並走するという趣ある風景があります。大正時代の鉄道開業に始まり、その後の道路開通以後残る100年を超える歴史ある景観です。しかし今、この風景が消滅の危機にあります。

▲100年の歴史ある阪急千里線と上の川と府道が並走する風景。
大阪府吹田市を流れる小さな河川、上の川(かみのかわ・一級河川)。大正10年(1921年)に開通した阪急千里線(当時は北大阪電鉄)の関大前駅−豊津駅間は、この曲がりくねった川に沿って敷かれているため、線路も曲がりくねっています。
川の東側が線路、川の西側には府道吹田箕面線(121号線)が沿っており、この3線が並走する風景は、まるで田舎町のようで、都会近くでは珍しい風景です。鉄道開業後、大正12年(1923年)の地図には、既に道路が描かれていますので、100年を超える歴史ある景観ということになります。
電車は、カーブが多いため、キーンときしみ音を鳴らしながら、大変ゆっくり走ります。川の流れがあるからこそ、電車が徐行して進む意味合いが分かるというものです。この区間の上の川はとても短い流域の中で一番美しい姿を見せる所で、程良い量の水の流れと、府道を行き交う車も合わせて、その光景は、大変のどかで趣を感じます。
▲阪急豊津駅近くの並走区間(2023年7月)。ここは暗渠化1期事業で既に上の川の景観が失われた所。
●吹田市が無謀な暗渠化を計画
しかし今、この景観が消滅の危機にあります。吹田市は歩道が手狭な府道吹田箕面線に、十分な幅の歩道を作るために、上の川にフタをする暗渠(あんきょ)化を行う計画を進めています(上の川周辺整備事業・大阪府との共同事業)。確かに、この道には歩道のない所や細い所が多く、長年の問題になっていたということですが、歩道の幅を確保するためだけに、なぜ暗渠化なのでしょうか?
既に阪急豊津駅前付近では、1期事業として上の川の暗渠化(約300m)が行われ、これまで歩道がなかった区間に歩道2本が作られました。この場所に関しては、駅前の込み入る場所だったため、事業を行う意義はあったかも知れません。ただ、
1本は遊歩道という位置づけですが、その利用者が、いつ見ても大変少ない印象です。1日を通して、どれくらいの利用者がいるのか検証する必要がありそうです。
▲阪急千里線沿いの上の川は、距離が短い同流域で、一番美しい姿を見せる所だ。
それが今度は、2期事業として、このままの規模で阪急関大前駅付近まで約350m延長するというのです。ここはさほど人通りの多い所ではなく、歩道が2本も必要ない場所です。
暗渠化というのは、大変大掛かりな工事が必要で、40億円以上の税金を使われる見込みです(暗渠化後の道路整備費用は別途、大阪府が負担)。昨今の資材高騰により、さらに増額する可能性もあります。なぜ、暗渠化ありきで計画が進められたのでしょうか?
●リサーチ不足のまま決められた暗渠化計画
吹田市の資料によると、検討開始時に必要としていた歩道幅は2.5mということです。吹田市議会の議事録を検索すると、上の川の斜めになっている護岸を垂直化することにより、スペースを作れないかという検討はされたようですが、「6億円かけて、わずか90cmしか確保できない」ということが分かり、暗渠化するしかないという結論になったようです。
実際には、梁を設けて歩道を載せる方法や梁も支柱も必要としない最新の「張り出し工法」というものが適用可能とみられますが、それらの工法が全く検討されず、リサーチ不足のまま、暗渠化する結論になってしまったようです。
国から補助金が出るのを見越して、意図的に別工法を見過ごしたのではないかという見方もあります。

▲阪急豊津駅前の糸田川に見られる護岸を垂直化した箇所。
そして、暗渠化しかないなら、遊歩道も作ろうと、計画が拡大。また、関西大学が災害時の避難所になっていることから、そこへの避難ルートとして、遊歩道が有用との建設の口実も付け加えられました。
しかし、吹田市のホームページを見ると、避難所は基本的に公立の小中学校などになっており、まずそこに避難することになっています。関西大学も大規模災害時などの広域避難場所に指定されてはいますが、地震などが発生した直後に一斉に大勢の人たちがその避難ルートを使うという性質のものではないとみられます。
日常的にも、2期区間は豊津駅程の人通りは多くなく、また、西側(円山町)住宅地内の裏道もあるため、わざわざ莫大な費用をかけて暗渠化を行って、2本もの歩道を作るのは、過剰であると考えられます。
令和4年度 第3回バリアフリー吹田市民会議 議事録において、
吹田市の担当者が「両側まで(歩道が)必要かっていうそこまでは必要がないという中で」と発言した記録が残っています。過剰であると認めながらも、何らかの理由を付けて事業が進められています。
この事業は、大阪府・吹田市・阪急電鉄・関西大学の連携協定の下、行われるとのことですが、別工法について、大学の専門家に伺うといったこともしなかったのでしょうか?
不十分な検討のまま、決定に至ったプロセスは公共事業として大いに問題です。一旦、白紙に戻して検討し直すべきかと思います。
●関大前の上の川に実例、川側にせり出した歩道
ここからは、代替案について詳しく述べますが、ちょうど、阪急関大前駅近くには、同じ上の川で、実際に川側にせり出して歩道が作られている箇所があり、そのような工法が可能なことが一目瞭然です。ここでは、川の両岸に渡すように梁を設けて、そこに歩道を載せるという旧来の方法が採られています。ただ、梁がたくさん設けられており、川の景観は、あまり良くありません。

▲阪急関大前駅近くの上の川。梁の上に歩道が載せられている。
●最新の「張り出し工法」で幅3m前後の歩道建設が可能
そこで、さらに調べたところ、最新の「張り出し工法」なるものが出てきました。これは、梁や支柱もなしに既製の部材を使って道路を川側にせり出す技術。歩道を張り出して作ることもできますが、大型トラックが走るような車道でも、最大1.75mせり出すことができるということです。
▲奈良市が発注した「張り出し工法」施工現場(奈良公園・東大寺近く)。梁や支柱もなしに、1.5m川側に道路の拡幅が実現している(2026年5月取材)。
これをこちらの吹田箕面線に適用すれば、
河川の暗渠化も必要とせず、道路の拡幅が可能です。拡幅した分、車道を川側にシフトすれば、現行幅1mの歩道の箇所でも幅2.75mまで歩道が拡幅できることになります。多くの箇所で3m前後の幅の歩道が確保できます。
吹田市としては、歩道の必要幅は2.5mとしていますが、もし張り出し工法を用いても、足りないという所があれば、旧来の梁を設けて拡幅する工法も有用でしょう。もしくは、一度検討したという護岸の垂直化と張り出し工法の併用で、90cm+175cm=265cmの拡幅も可能です。
▲張り出し工法による車道拡幅と歩道拡幅を行った場合のイメージ画。車道を河川上に1.75mシフトすることにより、歩道を1.75m拡幅することができる。
▲現行歩道の広い区間(左)と狭い区間。広い区間では、2m程度の幅が確保されているが、狭い区間では、1m程しかない。そんな箇所も張り出し工法で拡幅すれば、2.75m程の幅が確保できる。
●暗渠化は大変な税金の無駄遣い・・代替案なら約40億円削減
張り出し工法の工費については、これを手掛ける
ランデス株式会社に問い合わせたところ、
2期区間の約350mで約1.9億円とのこと(幅1.75m、1m当たり約55万円)。暗渠化(40億円以上)の約20分の1となります。工期も暗渠化が3年以上かかるのに対し、張り出し工法では、1年未満で済むとのことです。

▲張り出し工法(ロードプラス)イメージ
40億円もの税金が浮いたならば、昨今、各地で問題になっている老朽化した下水道の補修にも十分に回すことができます。下水道管の一般的な補修・更新工事の相場に換算すると、約15�qから、工法によっては40km近くもの下水道管を更新ができるということです。市民の血税は、大切にかつ適切に使っていただきたいものです。
ちなみに、既に工事が完了した阪急豊津駅前の上の川暗渠化1期区間は、約300mで総工費は約29億9000万円掛かったということでしたが、ここを張り出し工法(幅1.75m)で施工していたならば、約1億6500万円で済んだことになります(約18分の1)。
張り出し工法が可能であるにも関わらず、巨額を投じて暗渠化を行おうとするのは、大変な税金の無駄遣いと言えるでしょう。それが進められれば、
連携協定を結んだ阪急電鉄や関西大学も税金の無駄遣いに加担したと、市民から見なされるのではないでしょうか。特に多くの知見を持つ関西大学は、黙って見過ごしたのかと批判の的になりかねません。過剰な公共工事にストップをかけるのも大学の役目ではないでょうか。
●代替案(2)・・歩道のみの張り出し工法
張り出し工法では、歩道のみの張り出しが可能な
アスザック株式会社の「アプロン�U」という部材もあり、それを適用するのではあれば、現在の歩道、車道はそのままに、新たな歩道を上の川上に設置。この場合は最大3m幅の張り出しが可能ということです。
▲現行の車道・歩道はそのままにして、張り出し工法で歩道を新設した場合のイメージ画。河川上にせり出して幅3mの歩道が新設できる。
●代替案(3)・・暗渠化なしで2本の歩道整備
さらに、もう一つ代替案として、どうしても2本の歩道を作りたいのであれば、阪急電鉄の協力を得て、上の川と阪急千里線の間のスペースに歩道を作る案があります。
2期区間の全てにスペースがあるわけではないので、一部区間で前述した上の川上に梁を設けて、歩道を載せる方法も合わせる必要があります。これと代替案(1)の張り出し工法を合わせると、吹田市が計画したものと同じ2本の歩道・遊歩道ができることになります。しかし、果たしてそこまで必要でしょうか?
▲張り出し工法による車道拡幅と歩道拡幅を行ったうえ、上の川と阪急千里線の間にも遊歩道を作った場合のイメージ画。暗渠化なしに2本の歩道・遊歩道ができる。
●暗渠化の強行は、河川法規定違反
河川の暗渠化は河川法の工作物設置許可基準により、他にスペースがなく「設置がやむを得ないもの」に限り特例的に認められるとのことです。それならば、
「張り出し工法」で道路を拡幅して歩道が設置できるにも関わらず、暗渠化を行おうとすれば、基準に抵触して規定違反になるのではないでしょうか。
河川法において、河川は常に空が見える開水路であることが求められており、暗渠化は原則認められていません。それは、洪水時に水位確認をするためや、ゴミの詰まり、土砂の堆積を常に監視し、問題が生じた際にすぐ除去できるようにするためです。
また、暗渠化は水生生物の生息環境を破壊し、水質の自浄作用を妨げることにもつながります。現代は、SDGsの時代です。水辺の環境を大切にすることが求められます。
●暗渠化は、国が進める「グリーンインフラ」の精神に逆行
国土交通省としても近年、自然の持つ多様な機能を街づくりに活かす「
グリーンインフラ」を推進しています。
コンクリートだけで街を作るのではなく、植物や川などの「自然の力」を上手に使って、災害にも強い住みやすい街を作ろうという取り組みです。
2018年には、東京の渋谷川の一部(渋谷ストリーム周辺)で、暗渠だったところを開き、水辺を活かした街づくりが行われました。上の川における、今になっての暗渠化は時代に逆行していると言えましょう。
▲国土交通省が推進する「グリーンインフラ」の活用イメージ図(出典:グリーンインフラ推進戦略2030)。
吹田市は、暗渠化により作られた遊歩道を「緑のネットワーク」に指定する方針のようですが、自然破壊を行っておきながら、それに指定するのは、矛盾した到底おかしな話です。
大阪府の資料には、緑のネットワークについて「周辺の土地利用等を踏まえたまちづくりの中で、河川が有している自然の復元力を積極的に誘導できるよう、持続的かつ多様な河川環境の創出に努めるとともに、地域特性に応じて川に身近にふれあえる憩いの場を形成していきます。」と明記されています。
▲阪急豊津駅近くにある上の川(左)と糸田川(右)の合流箇所。ここの遊歩道は「緑のネットワーク」に指定されているが、この先、上の川は1期暗渠区間となっており、緑が失われたその沿道のネットワーク指定はふさわしくない。
大阪府の緑のネットワーク方針は、正に国土交通省が進めるグリーンインフラと同じ考えです。歩道建設に代替案を適用したならば、水辺の環境を活かした街づくりができ、時代にも合致。堂々と緑のネットワークに指定できることかと思います。
●暗渠化は、吹田市・大阪府の環境条例違反
さらには、吹田市には、1997年に制定された環境条例があることが分かりました。
「吹田市環境基本条例」の第7条には、「雑木林・緑地、農地、水辺地等における多様な自然環境の保全及び回復を図ることにより、人間と自然とが共生する良好な環境を確保すること」「安全でみどりや水に親しめる潤いと安らぎのある都市空間の形成、地域の特性を活かした美しい都市景観の形成、歴史的文化的環境の形成等を図ることにより、快適な都市環境を創造すること。」と規定されています。
また、「吹田市環境の保全等に関する条例」の第25条には、「市は、雑木林、緑地、農地、水辺地等における自然環境を適正に保全し、及び回復することにより、市民と自然とのふれあいの場の確保及び機会の提供に努めるものとする。」と規定されています。
▲吹田市役所。環境条例を制定している吹田市だが、暗渠化事業は自ら条例に違反することになる。
大阪府にも同様の環境条例があり、上の川の暗渠化は、明らかに条例違反ということになります。
市民には環境保全を求めておきながら、税金の無駄遣いのあげく、自ら条例に違反して自然環境を壊していく・・これでは、市民に対して到底示しがつかないのではないでしょうか。
●暗渠化で水害リスク増・・周辺では許容量を超える豪雨も
もう一つ、不可解なのは、水害リスク増となる暗渠化をなぜ、この現代にあえて行うのかということです。
暗渠は、増水時に閉塞が起きて、水害のリスクが増すという欠点があります。暗渠入口に水が入りきらなかったり、漂流物が詰まったりしてあふれたりする危険があるということです。
また、暗渠内が満杯になると、内部に強い圧力がかかり、マンホールのフタを吹き飛ばしたり、逆流を起こしたりすることもあるとのことです。先日(2026年6月26日)に発生した大阪市内の豪雨(1時間に83ミリの雨量)で、マンホールが吹き飛ぶ映像が何度もテレビに映し出されましたが、これは正に暗渠に閉塞が起きた時に起きる現象です。マンホールと共に周りのアスファルトもはがれて吹き飛び、大変危険な状況でした。
▲既に完成した1期区間の暗渠吞口(入口)。暗渠の土台が設けられ、随分川幅が狭められている。ここに許容量を超える水がぶつかれば、あふれ出すことになる。
阪急豊津駅前の1期区間では、暗渠化によって流下能力(許容量)は、かつての1時間に50ミリ対応から1時間に80ミリ対応へと引き上げられたとされています。
しかし、思い当たる近辺での豪雨の雨量を調べてみますと、昨年(2025年)、京都市内が冠水した時の雨量は、中京区で1時間に約100ミリ、2013年、梅田のかっぱ横丁に浸水被害があった時の雨量は、中央区で10分間に27.5ミリ(1時間換算で約165ミリ相当)、1994年、大阪国際空港に浸水被害があった時の雨量は、豊中市で1時間に91ミリと、いずれも許容量を上回っています。
気象庁のデータによると、全国における1時間に80ミリを超える豪雨の回数は、1980年頃と比較して、おおむね2倍程度に頻度が増加しているのだそうです。
最近、各地でよく耳にする「線状降水帯」の発生や「記録的短時間大雨情報」(大阪府における発表基準は1時間に100ミリの雨量)が発表されるようなことがあると、たちまち暗渠に入りきらない水があふれ出すということになります。
一度コンクリートの箱を地下に埋めて暗渠を作ってしまうと、あとから容量をアップすることは極めて困難とのことです。よくこの近辺の商店主などから反対の声が挙がらなかったものかと思います。

▲1期暗渠化工事中の豪雨で浸水被害があった阪急豊津駅前の店舗。
2023年9月12日の豪雨では、豊津駅前の1期暗渠化工事現場から水があふれる事故が起き、周辺の家屋や店舗に床上浸水の被害が出ました。急激な水位上昇で工事用資材を引きあげるのが間に合わなかったということです(吹田市議会議事録に記載)。正に閉塞の事態です。
上の川は、身構えていたはずの工事業者でも対応できなかったくらい急激に増水する川です。やはり、これ以上の暗渠は作らず、常に川の状態を確認できるようにしておくべきではないでしょうか。
▲2期区間の暗渠吞口(入口)になるとされている箇所。右にクリーニング店、左に関西大学第一高校、第一中学校、幼稚園があるが、許容量を超える豪雨が降ると、溢水が起きるリスクを負う場所となる。
2期区間で暗渠入口になるとされているのは、西に 貴美屋クリーニング、来来亭(ラーメン店)、東に関西大学第一高校・第一中学校の正門、関大幼稚園がある所です。
2期区間も同量の流下能力にせざる得なくなるとみられます。コンクリートのフタで限界が固定されてしまう暗渠は、想定外の豪雨が来たときに、堤防の高さの限界まで空間全体を使って水を流せる開渠(通常の河川)のような柔軟性が一切ありません。そうなれば、この付近がリスク増となることは避けられません。
1967年(昭和42年)に発生した北摂豪雨についてまとめた資料には、暗渠が水害の被害を拡大させたとの記述があります。この時、既に「集中豪雨時には暗渠がつまり、内水洪水発生の原因となりやすい」と指摘されており、水害時、実際に暗渠が流木や土砂で詰まっている写真も掲載されています。これは、教訓を後世に伝えるべく作られた資料だと思いますが、吹田市・大阪府は、これを無視できますでしょうか。
令和4年度 第3回バリアフリー吹田市民会議 議事録に、
吹田市の担当者が「河川を暗渠化するというのは、片方で大雨対策と背反するようなことになります」と発言した記録が残っています。水害リスクを認めながらも、事業が進められています。
ちなみに、吹田市のハザードマップには、神崎川が氾濫した際の浸水想定域が記されていますが、それが阪急豊津駅の手前辺りまで来ています。ここは、上の川の暗渠1期区間の出口に当たる場所です。神崎川の水が逆流して押し寄せれば(バックウォーター現象)、この暗渠の出口側に水がぶつかり、あふれ出すことも予想されます。
●関大前では暗渠で何度も浸水被害
また、暗渠の危険性は、2期区間の暗渠入口になるとされている箇所から上流へわずか約400mの所で繰り返し起きている水害が物語っています。
この上の川の阪急関大前駅付近では、過去に何度も氾濫を起こしているという事実があります。2003年には、関大前駅と千里山駅の間辺りにある公園地下に上の川調整池が設けられ、水を貯められるようになりましたが、それでも、2006年、2007年、2013年の3回、氾濫が起きています。
その氾濫を起こしている箇所は、古くからある暗渠がある場所です。暗渠に入りきらなくなった水があふれ、関大前商店街の店舗に床上浸水の被害が出ました。
▲増水時の危険を知らせる看板(左)と上の川で特に氾濫が多い関大前商店街の暗渠入口(右)。川の上にある信号のようなものは、上の川調節池の水位を表示するもの。点灯時は警戒しなければならない。
そんな川に、しかも、年々雨の降り方が異常をきたしているこの現代に、なぜ新たな暗渠化を行うのかということです。吹田市に大雨特別警報級の雨が絶対降らないとは言えません。
住民に不安を与えるようなことは行うべきではないでしょう。来る豪雨に備え、開渠状態での流下能力アップに努めるべきではないでしょうか。
近年、国内で650m(1期・2期合計)にも渡って新規に暗渠化する例は、極めて異例とのこと。暗渠化により、もしものことがあれば、大阪府と吹田市の責任が問われることになります。
吹田市:
大阪府の北摂地域に位置し、人口は約39万人。1940年(昭和15年)に4町村(吹田町・千里村・岸部村・豊津村)が合併して誕生しました。大阪市のベッドタウンとして発展。豊中市とまたがる「千里ニュータウン」(1961年から開発)は日本初の大規模ニュータウンです。1970年には「日本万国博覧会」(大阪万博)が開催。そのシンボル「太陽の塔」が立つ万博記念公園は市内最大の公園です。吹田市のイメージキャラクターは「すいたん」。現在の市長は後藤圭二氏(3期目)。後藤氏は、お笑いコンビ「ジャルジャル」・後藤淳平さんの父親です。来春(2027年)には、市長選挙・市議会議員選挙が控えており、巨額の税金が使われる上の川暗渠化の問題は、果たして争点となりますでしょうか。

▲大阪モノレールと太陽の塔。
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上の川:
吹田市内を流れる淀川水系・糸田川の支流で一級河川。阪急千里山駅付近から阪急千里線に沿うように流れ、阪急豊津駅付近で糸田川に合流します。河川と認められているのは、この総延長約1.8�qですが、千里山駅付近からさらに上流へ、下水道扱いの暗渠が続いており、水源は佐井寺4丁目にある太平池(たいらいけ)ということです。今年(2026年)に完成した豊津駅付近の暗渠区間は、昭和初期に川筋が付け替えられた区間。かつての流路は、垂水上池付近から西寄りに流れ、そこから天井川となっており、垂水地区では度々水害に悩まされていました。特に1940年(昭和15年)7月の豪雨被害は大きく、上の川と糸田川の堤防が8カ所も決壊し、450戸以上が床上浸水となる被害が出ました。そのため、1941年(昭和16年)〜1942年(昭和17年)に付け替え工事が行われました。豊津交番前交差点の南西角には、上の川・糸田川改修記念碑が設置されています。糸田川の先は江坂付近で神崎川に合流します。

▲上の川・糸田川改修記念碑
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―――2026年8月14日 追記―――
記事中に、動画(阪急千里線・上の川・府道が並走する風景)のリンクを掲載しました。